【雑感】『キュレーションの時代』に感じる違和感

by Kazumoto on 07/28/2011
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ジャーナリスト・佐々木俊尚氏が『キュレーションの時代』という著作を出されてから、にわかに脚光を浴びた「キュレーション」という言葉。どうもこのキュレーション(もしくはキュレーター)という言葉は間違った認識を生んでいるのではないかと違和感を感じています。

本書を読み進める内に「豊かで有益な視座」という言葉が出てきます。情報を高見から見ることができる高感度な視点をもった人。そんな意味合いに私は捉えました。となるとですね、

「この人の情報なら大丈夫だ」

「この人だから話半分に」

「この人のは聞いちゃダメ」

みたな信頼度の序列・信頼度のヒエラルキーが出きたということなのでしょうか?

多くのフォロワーを要する、マスメディアに出ている有名人、著名人、識者の方々の言うことは信頼できるもので、ごく普通の人の意見は話半分に聞いておくべきものだということになってしまいませんか?それは「強者による情報の押しつけ」とのような差異があるのか私にはわかりません。そして私なりにTwitterやfacebook、G+を使っていけば行くほど、こんな序列はないんじゃないかと思えてくるようになりました。

仮に世に出て大成功した社長さんが何の因果か、本業とは全く関係ない教育問題対する意見を求められたとしましょう。現場の教職員さんからは「美しい日本語をもっと音読させるべきだ」という意見が出たと仮定します。しかし社長さんは自分の経験と照らし合わせて「そんなことはどうでも良い。お金のルールを学ばせることが重要だ」と教師の意見を一笑に付したとします。さて、社会的に影響力のあるのは間違いなく社長さんです。しかし、現場で子どもたちと接している実績は間違いなく現場の教職員さんにあります。佐々木氏の論調だと、この起業家の知名度、社会的実績、影響力を鑑み、こちらの主張を支持するのだ妥当ということになってしまう危険性はないのでしょうか?

昔から疑問に思っていることにも通じます。もっともっと卑近な例です。アイドルがよく通うお店というのがTVで放映されますよね?あっという間に人気店になるそうです。が、私にはコレが理解できないんですね。そこいらのアイドルが「おいしい」という情報が店の味の旨さを決めるなんてオカシイと思いませんか?プロの料理人が絶賛するお店であれば、これはもう間違いなくオススメできるでしょう。何しろ本職が本職の仕事を褒めているわけですから。でも、影響力からすればアイドルの方が多くのファンを得ていますから、こういう妙ちくりんな現象が起こるわけです。

さて、この二つの例はどう解釈すべきなのでしょうか?社会的な信頼の上下もオカシイでしょう?

キュレーションの説明に使われてる「フィルター」という単語がヒントを握っているように思います。

文部科学省が「光マップ」という資料を公開してくれています。ちょと重たい資料ですが、これを使いたいと思います。ほんのちょっぴり小難しい話になります。

この図、横軸は左から右へ、長波長である電波領域・遠赤外光・中赤外光・近赤外光・可視光・紫外光・軟X線・X線・γ線という短波長までの光のどの波長がどういう技術に使われているのかが一目瞭然でわかるマップとなっています。理科の嫌いな人はごめんなさい(笑)

たとえば

ブルーレイに使われている波長は「405nm」

DVDに使われている波長は「650nm」

CDに使われている波長は「785nm」

この波長がホンの1nmでもズレた光だったら用をなさないわけです。データの読み取り書き込みともにできません。まさにピンポイントでブルーレイなら405nm光だけを取り出すフィルターが必要です。

さて、お気づきとは思いますが、当然のことながら、この光の横軸には優劣はないわけです。短波長が偉くて、長波長が劣っている何てことは全くありません。用途によって使われている波長が違うだけです。

では、この横軸を波長ではなくて、「興味・関心」にしてみたらどうでしょう?猫が好きという関心・犬が好きという関心・文房具が特にカッターが好きという関心・伝統工芸品に関する関心etc これらにも優劣はないわけです。

そしてフィルターの性能は特定の波長をどれだけ透過させるか(透過フィルターの場合)に左右されます。下図では、372.0nmの波長のみを透過しているフィルターの性能グラフになります。縦軸は透過率・横軸が波長です。

Graph LL01 372

透過している波長以外の、短い波長、長い波長は透過ゼロ。完全にブロックしていることが読み取れます。仮にこの372.0nmが示す興味は「鉛筆」だったとしましょう。この人の持っているフィルターでは鉛筆に関する情報はものすごい急峻さで、透過=キュレーションされているわけです。しかし400nmが仮に「ボールペン」だったとしても、ボールペンは興味の対象外ということになります。この人は「鉛筆」に関してはものすごいエッジの効いたフィルターをお持ちだと言うことになります。

当然「声優さん」という大きいくくり(700ー1000nmと仮定)で高感度な人もいるでしょう。波形はこんな感じでしょうか。
Graph FF01 839 270

声優さんの中でも、ピンポイントで水木奈々さんを追っている人はこんなグラフになるかもしれません(笑)(823nmで仮定)
Graph maxline 808 T

別に序列、新しい信頼のヒエラルキーができたわけではないと思うんです。かといって同じ関心の輪の中に中心人物がいるわけでもなくて、とてもフラットな状態でアウトプットできる土壌が整ってきたと言うのが現状を表しているのではないかと思っています。

普通の人がアウトプットした、ニッチでエッジの効いた情報がひょんなことからLikeやイイネ!を集めて、共有されて、シェアされて、広まっていく。それこそが「キュレーションの時代」の意味合いなのではないかと思います。(ひょんなことを引き起こすマーケティングは必要かもしれませんね)

もちろん、超普通な人がエッジの効いた情報をバンバンアウトプットし続けた結果、いつの間にかその道の第一人者になっていて、マスコミで顔を見るようになった。なーんてことも起こりえるかもしれませんが、それはまたちょっと別の話かなと(笑)

情報が錯綜している時代だからこそ、どの人がどの情報に精通しているかはとても貴重な自分だけの情報になると思います。TVに出てる有名人だからぁ程度で100%信頼するのは避けておいた方が賢明ではないでしょうか?

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