【本レビュー】なんかモッタイナイ!『[新時代のワークスタイル]クラウド「超」活用術』(北真也著)

by Kazumoto on 11/25/2011
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著者北真也氏より献本御礼。

ご存じ、大人気ブログ「Hacks for Creative Life!」を主宰されているアルファブロガー北真也氏(@beck1240)の2冊目(電子書籍を入れれば3冊目)の著書。

大手メーカーのSE。アルファブロガー。東京ライフハック研究会首謀者兼会長。かの有名メディア「シゴタノ!」執筆陣のひとり。フルマラソンを完走するランナー。モレスキンイベントの中心で「ほぼ日」愛を語る強心臓の持ち主。そして、恐s…もとい、愛妻家。

多方面で奮闘し、大活躍しているバイタリティ溢れる著者の本です。

既に下記のブログで「全部マネしたい!」という激賞のレビューが書かれています。

1:No Second Life 「全部実践したくなる! 書評「クラウド「超」活用術」by 北真也

2:R-Style 「【書評】『[新時代のワークスタイル]クラウド「超」活用術』(北真也)

3:最先端訪 【書籍探訪】恐るべし!クラウド「超」活用術 @beck1240 こりゃ脱帽だよー!

4:マインドマップ1年生plusライフハック! クラウドで「自分」を超活用!「新時代のワークスタイル クラウド”超”活用術」

5:Last Day.jp 『新時代のワークスタイル クラウド「超」活用術』

6:Ko’s Style これはすぐ真似しよう!Evernoteに入れておきたい4つのこと ~本『新時代のワークスタイル クラウド「超」活用術』

上記のブログに書かれているとおり、著者が試行錯誤の末、構築し、実践している「クラウドを活用した仕事のやり方」が余すところなく書かれています。

Googleカレンダー、Evernote、Toodoledo、Dropbox、様々なiPhoneアプリ…どれも「なるほど」と感服してしまいます。「取り入れてみよう!」「これは知らなかった!」「こういう使い方もあるのか!」という気づきは数多く得られる本です。

著者のブログを愛読されている方ならお分かりいただけると思いますが、本書もどうしてここまで詳細に語り尽くせるんだろうと思うほどの情報量で埋め尽くされています。キャプチャー画像も、図解も懇切丁寧。実に分かりやすい。「伝えたい!」という思いが端々から感じ取れるのは、本書も同じです。

真骨頂はP36・P37の「本書で使用するツール群」の図解です。ここまでシステマティックに貪欲に情報を取り込み、スケジュールやタスクを管理できている人はきっと極めて少数だと思います。このページの図解を見るだけで、著者がどれほど真剣にこのシステムを、そして本書をまとめていったのか、感じ取ることができるものだと私は思います。

しかしながら、ひねくれ者である私の読了後の感想を一言でまとめると「モッタイナイ!」となります。著者とはとてもとても懇意にさせていただいていますし、著者の奮闘している姿、必死に仕事をし家庭を大切にし、さらに自己実現の為に邁進している姿を私は知ってしまっているだけに、こういう感想を持ったのだと思います。(この先はその視点を念頭に置いてお読みいただけたら幸いです)

著者は「サラリーマン」です。だからこそ、多くのサラリーマンが、今まさに抱えている悩みと同じものを著者も体験しているはずです。それを「上手く」解決する方法を著者なら提示できるはずなのに・・・所々、「何故ここを膨らませてくれなかったの!?」と思わず突っ込んでしまうところがあるのです。

本書は、「はじめに」でK君なる人物が散々ダメ出しされる姿からはじまります。ココを読んだ瞬間、私はものすごく興奮しました。

「K君は何がダメだったんだろう?這い上がる上でクラウドはどう役に立ったのだろう?」

単なるクラウドサービス万歳という本、iPhoneのアプリ紹介本、ツール紹介本はもう世の中に沢山あります。それこそ、アプリやサービスの使い方は本を読むよりブログを検索した方が、有益な情報が出てくる世の中です。個々サービス、個々のアプリの紹介や使い方だけではなく、ブロガーが独自に編み出した組み合わせ技も検索でヒットします。そういうツールの紹介の本では無いのだと私は期待しました。私は本書をこのような本だと想像したのです。

「ビジネスの成果とは◎◎である。しかし昔の私は××という落とし穴にはまり、成果まで辿り付けずにいた。ところが、クラウドサービスというものを使い出してから、落とし穴にハマることなく、コンスタントに成果を出し続けることができるようになった。その成果とはたとえばシーンAでは◎、シーンBでは△などである。その仕事の仕方を紹介しよう」

こういう本は読んだことがありません。実際に勤めている人でなければ_つまり著者のような人で無ければ_絶対に書けない本と言えます。実際に企業に勤めている著者が、勤めている立場で、勤めている人に向けて書いた本なのだと期待してページをめくっていきました。さらに「新時代のワークスタイル」と銘打ってあるのです。断じて「ノマドワーク万歳」でも「隙間時間を有効に使おう」でも「iPhoneとクラウドがあれば万事解決」という、最近の雑誌面を埋めているような内容ではないと期待しました。しかし、この期待はちょっと叶いませんでした。

本書では「「成果を出す」ための具体的な方法論を取り上げています。」とあります。「成果」という言葉は頻繁に登場します。しかしながら、「成果」の定義は行われていません。従ってこの仕組みを真似してもどういう「成果」が得られるのかどうも良くわからないのです。先ほど真骨頂であると上げた図解もアウトプット先は、ブログと書籍しか見当たりません。著者の仕事のアウトプットはどこから生まれて、どういう経緯を経て紡がれるのか、この図からでは読み取れません。

もちろん「成果」とは一概に一言で定義できる類の言葉ではないことは私だって百も承知です。学者さんなら論文にまとめることが成果でしょうし、営業マンだったら売上と粗利を稼ぐことが成果でしょう。コンサルタントだったら、クライアントの悩みやウィークポイントを改善することが成果と言えるかもしれません。職種によって「成果」とはまちまちだということは私も理解しています。

しかし、この著者流のクラウドサービスを完璧に真似たとして得られる「成果」が具体的に何を指しているのか私にはどうしても理解できませんでした。「はじめに」のK君は出す書類出す書類、全てボツにされていきます。クラウドを活用しだして、彼の書類は通るようになったのか?なったのなら、何のツールがどうして助けになったのか、私にはわかりませんでした。

著者がハマッた落とし穴、散々ダメ出しを受けてきた理由、何がダメだったのか、何故「成果」に結びつかなかったのか?ということも、断片的なことは書かれていますが、まとまっては書かれていません。

少し具体的な内容に踏み込んでみます。

P73には「取り漏らしゼロのメモシステムを構築する」とあります。ここで私のような者が予想し、知りたいのはこういうことなろうかと思います。

「昔はメモを取らなかった、取っても無くしてしまっていた。これが原因でこういうミスを連発した。だから、メモシステムを構築する必要があるんですよ」

しかし本書ではいきなり「情報をキャッチした時点で忘れないように書き留めるというアクションを起こす必要があります」と書かれています。何故アクションを起こす必要があるのか?ということは書かれていません。「メモを取るべきだ」というなら、「なぜなら◎◎だからだ」という、その理由を書かなければ読者は置き去りです。

P278には「名刺管理からスタートする人脈管理術」とあります。名刺管理に関する本、ブログは沢山あります。それでも成果を上げるためには名刺管理が必要だというからには、よほど独自性のあるものを期待します。

たとえば、必要な時に絶対にすぐに探せる今までに無い画期的な方法、とか、クラウドサービスを利用して、名刺情報を元にでソーシャルグラフを構築するなどが私には思い浮びました。

しかしiPhoneアプリとEvernoteで名刺管理をしましょうねという域を出ていないのです。確かにこのやり方は便利です。しかし、なんで著者がこの仕組みがベストだと言うのかの根拠が弱いのです。

そもそもこの本のターゲット層が私には今ひとつわかりません。
帯に「Toodoledoでタスク管理」とありますが、この読み方がわかる人というのは結構少ないでしょう。「クラウド」や「ワークスタイル」をキーワードとして本を探している人、初心者には手に取りにくい本ではないかと感じます。恐らくそういう人は情報てんこ盛りの本書ではなく、単機能のハウツー本に流れていってしまう気がします。

ビジネス書を相当数読んでいる人、iPhoneやクラウドサービスが好きで情報を集めている人、ライフハックというものが何か好きという人、こうした一部の人以外、本書の凄さを理解するのは難しい作りと言えます。しかし、こうした人にはサービスやアプリの紹介にページを割きすぎていて、いささか物足りない内容ではないかとも思います。一体誰に向けて書かれた本なのでしょう?

「おわりに」で、3.11で筆が止まってしまったというエピソードが書かれています。私の知っている著者は本当に優しく、繊細で、感受性の高い男ですから、とても良くわかります。だからこそ、その感受性を生かして、現場の悩み、現場の落とし穴、上手くいかない理由、仕事における「成果」とは何かもっともっと現場に肉薄した内容に出来たハズだと思えてなりません。

長くなりましたので、少しまとめます。

1:読者層が私にはピンとこない。

2:個々のサービス、ツール、アプリの便利さはわかった。でもそれが仕事の「成果」とどう結びつくのか、何故それを使った方が良いのかの説明のページ数が不足気味である。

3:同じサラリーマンの抱えている問題点の解決に果たしてこの仕組みがどう役に立つのかイメージしにくい

のです。これはどう考えても「モッタイナイ!」と言わざるを得ません。

個人的に、著者だからこそもっともっとここを膨らませて欲しかったと思えるのは、

・P51からの「クラウドが使えない職場環境で、どう対処すれば良いか」

・P54からの「アナログとの連携」

・P137からP142の「北式ワークフロー」(できればその変遷も)

こうしたことで悩まれている方はきっと多いはずです。勤め先のセキュリティポリシーに阻まれて、クラウドサービスもiPhoneも使えない状況で、それでもなお、クラウドとiPhoneの便利さの核心部分=メンタルモデルを堅守しつつ、仕事するにはどうすればよいのか?まさに著者が今行っている企業セキュリティの壁をも越える仕事のやり方そのものとも言えます。こういうところをもっともっとツッコんで欲しかったと個人的には思います。

著者の全てが詰まった本とか、「Hacks for Crieative Life!」が一冊に詰まった本という書評を目にしたが、断じて違うと思います。

何故って?

私の知っている北真也という男はもっともっともっとスゴイ男だからです。

非常に頭の良い男です。課題の見極めから、問題解決、今ビジネスの現場で最新のクラウドサービスを導入すべきか否かという議論に関しても、非常に博識で透徹した知識を持っていらっしゃる人です。それだけに、自らが使っているサービス・ツール・アプリの紹介と使い方を減らしてでも、上記の部分を膨らませて欲しかったなぁと思わずにはいられません。それは知識と実践をハイブリットさせている著者だからこそ書けるものであるはずだと思うからです。

私が残念に感じてしまったポイントの多くは、著者の問題では無く、私が思うに編集サイドの落ち度ではないのかと感じます。もちろん多くの人が手にとって、大いに売れて欲しいと心から願いますが、と同時に、北真也という希有な著者の次作以降を心から期待したいと思います。

自分のことを棚に上げて、偉そうなことを書いてしまったと思いますが、彼は夢に向かってもっともっとスゴイ本、世のサラリーマンのモデルになるような本を書ける人だと信じているから、こんなことを書いたのだと、著者に伝わることを祈ります。応援してますよ!!(凹んでしまうようでしたら、消しますのでご一報くださいm(_ _)m)

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