私見:うつ病という病気とよりそって生きる道について

by Kazumoto on 06/26/2012
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完全に私見です。

オープンにしていることですが、私はうつ病という病を患っています。社会的認知度がだんだん上がってきて、良い悪い、正しい正しくないは別にして、さまざまなうつ病に関する記事を昨今、多く目にするようになりました。

私は医師ではありませんので、うつ病の分野だとか、この治療法が効くとか、こうすれば治るなんてことは、言えません。(まだ治ってもいないのにとても言えません!)

確かに病気に関して相談できる人は身近にいるとは限りません。本人は「なぜ、オレがこんな病気に!?」と原因を探して、それを潰すことで、治ろうともがきます。

支える家族も、「なんでこの人が病気に!?」とこれまた原因を探し、他者に責任を求めたり、本人の性格に問題を求めたり、果てはスピリチュアルな方にまで助けを求めたり、と非常に消耗することになります。

また、消耗していく家族を見ている本人も、「オレのせいだ・・・」となってしまうので、悪循環にはまっていく可能性は高まるばかりです。

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なら、Webで身分を伏せた状態で話ができるサービスを作ったらどうかと考えていらっしゃる営利企業があります。これだけ情報が出てきた中であっても、「うつ病です」と本人がカミングアウトすることも、また、ご家族が「ウチの誰々がうつ病を患っていて」と職場や友だちや近所のコミュニティでカミングアウトすることは、とても勇気が必要でしょうから、ここをWebでつなげようというアイデアは分からなくもありません。

が、場を提供するという理念、もっと多くの人とつながり支え合おうという理念は、理解できるものの、その先の「生き方」が見えて来ないのが気がかりです。寛解すればOKということなのか、再発者へのサポートはどうするのかも、今の段階では判然としません。

私の経験上の話になりますが、「医師以外の人に悩みを吐露し、同じような人がいることがわかるだけでは、この病気は寛解へは向かわない」のではないかと思っています。たとえその場にプロの医師がいらっしゃっていたとしてもです。数名の医師の治験が全てというわけではありませんし、この病気はまだまだ不明なことがあまりにも多すぎる病気だからです。

他の病気でも同じことはたびたび耳にします。たとえば「脳梗塞」になってしまった人が、「あの生活習慣が悪かった」とか「あのときこうしておけば良かった」といくら過去を振り返っても、「脳梗塞」は良くならないでしょう。種類は何にせよ「癌」を患ってしまった人が「なぜオレが癌になんてなるんだ!」と憤り、過去を責めても、癌は消えることはないでしょう。「ではどうするか?」を考えていくしかないでしょう。

支える家族は?心労如何ばかりかとお察ししますが・・・何ができるでしょう?集めた情報を医師に伝えて、治療方針を相談することはできるでしょう。J-CANという患者会はありますが、国に提言をしたりといった活動内容のようです。恐らく、究極的には、完治を信じて、その人の命を(金銭面も含め)支える以外できることはないのではないでしょうか?

こうした大病と安易に同列に並べて良いものか判断が付きかねますが、うつ病も同じで、考えるべきは、「なってしまった。ではどうするか?どう生きていくか?」に尽きると私は思っています。

私はこの病気と寄り添って6年目になろうとしていますが、そんなわけで、「原因」探しをしても意味はないと思っています。恐らく何らかの原因は後付けでどうとでも説明できるものなのかもしれません。原因と結果の法則から考えて、何らかの原因があるからこそ、こういう病気という結果を引き起こしてしまったのだろうとは思います。ただ、何より厄介なのは、心模様はひとりひとり本当に大きく異なるということです。

どれほど同じ悩みを抱える同士が交流する場を用意しても、医者を変えてみたらどうか、薬が合わないのではないか、等々、一見有益に見えて、素人には判断も調査もできない情報が、飛び交うだけになり、結局は傷のなめあいにしかならないなんてことに、なりはしないかと危惧してしまいます。

治療方法もたくさんあります。認知行動療法(集団含む)、薬物療法、電気けいれん療法(ECT)漢方療法、経頭蓋磁気刺激法(TMS)、睡眠療法、断眠療法、光療法、運動療法、ハーブの利用・・・などなど、これらが合う合わないは、素人には判断しかねるでしょう。

拙いながらも書かせていただいた拙著の中で、私は「生きる」という選択を自ら選び、ではどうやってこの病気と寄り添いながら、社会生活を営み、家内との生活を守り、幸せに笑って生きていくかを、(当然、工夫の歳中、諸先輩方、諸先生方の記事や書籍は参考にさせていただきましたが)自己流で工夫してきたことを書かせていただきました。

実に小さな工夫です。上記の治療法と比べたら本当に役に立つのか?と思われる方も多かっただろうと思います。従って「私の症例と違う」というお小言はたくさんたくさんいただきました。心模様が違うのですから、致し方ない部分だと思っています。

しかし、過去を悔やむか、未来を見るかで言えば、私は未来に焦点を当てた工夫を考えていく以外、回復したあと、生きていく方法は無いだろうと思っています。腕の良し悪しはあるかもしれませんが、医師というのは例えるなら、マラソンの伴走者です。今よりも改善させるというゴールまで一緒にサポートしてくれるのがお仕事です。ゴールした後、未来を切り開いていくのは患者さん本人であり、ご家族です。

ただでさえ、情報過多の中、うつ病は会社が原因だ!とか、こういう場が必要だからお金の協力をしてくれ!とか、甘ったれているだけだ!というニュースが目立ちますが、病気を扱う以上、そこには健康な人には想像もできない病気に苦しむ人がいて、その場所を利用するかもしれない人たちがいるわけです。通常では考えられない切実な思いが乗ってくるのです。果たして…こうしたニュース記事や新しく計画されているサービスは、その思いを受け止めることが本当にできるのでしょうか?

うつ病という病気は、今脚光を浴びている病気になってきています。認知度もどんどん上がっています。だからこそ、ただでさえ、今なお残る偏見を助長してしまうようなことのないよう(そして新たな偏見を生むようなことが絶対にないよう)、本当に慎重に慎重に事を運んでいただきたいと思います。ノリや勢いでやって良いものではないと私は思うのです。まかり間違っても、「うつ病の患者数は多い、この病気関連の何かをやれば儲かる」みたいな空気には絶対にしていただきたくないし、半端な覚悟で事業のネタにしていただきたくはないと、いちうつ病を患う者としては切にお願いしたいのです。これ以上、偏見が強くなったら、再就職もできず、路頭に迷う人(命を絶ってしまう人も)が増える結果に繋がりかねないのですから。

うつ病を患った人、支えるご家族に向けた書籍はたくさん発行されています。私も数ページ出させていただきましたが、AERAムック『職場のうつ』などは網羅的に、どの治療法もフラットに綿密な取材に基づいて書かれているので、正しい基礎情報を網羅的に知りたいという方にはオススメできる本だと思います。

***

なお、困ったこと、疑問に思うことがあったら、各種相談窓口は既に設置されていますので、コチラを利用するのも手です。

1:仕事のストレス、職場の悩み(人間関係含む)についての相談

 ・勤労者メンタルヘルスセンター
 ・日本産業カウンセラー協会
 ・労災病院
 ・労働局 など

2:心身の不調や現在の治療について相談したい

 ・いのちの電話(かかりづらいという情報あり)
 ・精神健保福祉センター
 ・保健所

3:臨床心理士にカウンセリングを受けたい

 ・日本臨床心理士会の電話相談やWeb
(「臨床心理士に出会うには」の心理相談機関検索サイトを参照されることをオススメします)

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