映画『ドラゴン・タトゥーの女(原題:THE GIRL WITH THE DRAGON TATTO)-ハリウッド版』に見る、偏在する情報を整理し、体系へとまとめ上げる工夫の数々

by Kazumoto on 07/4/2012
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The Girl with the Dragon Tattoo

原作小説がとっても素晴らしい出来でして、何度も読み返しています。正直、小説の世界が実に(時に過剰で饒舌すぎるくらい)ディテールにこだわって書かれているので、それを映像化するのは、とても難しいことだろうと思っていたのでスウェーデン版の方はスルーしていたのですが、ハリウッド版では大好きなダニエル・クレイグが主演ということで、iTunesで速攻買ってしまいました。我ながらミーハーです。

とはいえ、この映画の内容について取り上げたいわけではありません。レビュー記事を検索してもらえば、それこそワンサカ出てきますので、そういうのは映画評論ブログ等に譲りたいと思います。

今回、取り上げたいのは、この映画の中で出てくる情報のさばき方についてです。(この辺に注目してしまう当たり、我ながら仕事術オタクだと思うわけですが・・・(^^;))

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この映画では、ある未解決事件の謎に挑むため、非常に多くの情報ーそれも40年前の情報(多くは紙情報)ーを掘り起こし、そこから新しい手がかりを見つけていくという、非常に困難を極めるリサーチ作業が行われます。

その一方で、IT技術をふんだんに活用した調査も描かれていて、GoogleやWikipediaといった最早当たり前のツールも当然の如く出てきますし、資料をスキャナで取り込んで、MacbookProで見るというハイテク寄りの作業を行うシーンもあります。

この情報のさばき方に対するアプローチのバランスが面白いと個人的には思っています。

まず、アナログの方ですが、複雑な家族関係を把握し、関係するであろう40年前からの捜査資料を立体的に把握するために、ダニエル・クレイグ扮する主人公ミカエル・ブルムクヴィストは、家の大きな壁に顔写真やら資料やらを貼りつけて相関図を作っていくのです。大きな地図も用意し、誰が何処に住んでいて、どこで何が起こったのか、付箋を貼り付けて可視化していきます。実はコレ、映画的表現として視覚的に分かりやすいからやっているわけではなく、小説でも同様のことを主人公がやっているんですね。

複雑に絡み合った系譜を基軸として、関連資料をクリップで留めていきます。そして全体を見つつ、関連を考えた上で、一つ一つの資料を点検していくというやり方で謎に迫っていくのです。ボクシングのヒット・アンド・アウェイという戦法のようなやり方です。仮にこれをディスプレイ上でやろうとすると、画面サイズの問題で全体を見渡すということが困難だろうと推察されます。今では、なんでもディスプレイ上で処理してしまうことに慣れてしまっているような気がしますが、あまりにも情報(特に紙情報)が多い時は、こういうやり方が、今でも十分使えるテクニックなのだと思いました。

また、デジタル技術の方では、ルーニー・マーラ扮するヒロイン リズベッド・サランデルの「そんなこと本当にできるの?」というハッキング技術については置いておくとして、不鮮明な当時の写真をスキャンし、トリミングしてiPhotoやPhotoshopで検討してみたり、冊子をスキャンして、MacbookProのモニタ上で読んでいたりもします。一瞬だけ出てくるのですが、メモ書きもスキャンしているようで、スティッキーズも何枚も表示されていることから、思考過程はデジタルにまとめている様子も窺えます。

ガバッと展開し鳥瞰しなければいけない資料については、大胆にも壁一面を使って(もしくは大きな地図を使って)整理・展開し、細部を見ていく情報に関しては、MacbookProを使う。手持ちの資料の何がそろっていて、何が抜けているのか、壁を見れば情報を引きで見ることができ、詳細な情報はMacに一元管理されているわけです。なかなか理にかなったさばき方だと思います。

常にたくさんの情報との格闘を余儀なくされるお仕事_学者さんとか?_では当たり前のことなのかもしれませんが、偏在する情報は何らかの手法で整理し、ばらばらの断絶状態から意図的な体系へと転化させる必要があるのだということが、実に良くわかるシーンとなっています。

「情報を立体的にする」「鳥瞰する」などのキーワードはさまざまな書籍で言われていることですが、実際にそれをやっている場面に接する機会というのは案外少ないかもしれません。この映画では謎解きの過程のひとつに過ぎませんから、万事に応用が利くなどと言う気はサラサラありませんが、これらのシーンはその実例として見てみると、案外、使えるテクニックが隠されているシーンなのではないかと思いますよ!

ちなみに、主人公ミカエル・ブルムクヴィストが使っているノートはモレスキンのポケットサイズ、ソフトタイプのルールドノートでしたぞ!モレスキンファンにも必見かも(笑)

※R15指定の映画なので、セクシャルなシーン、暴力的なシーンが多々あります。家族とリビングで見るには不向きの映画だろうと思いますが、デヴィッド・フィンチャー監督作品ということで、映像はものすごく美しいし、インテリアや洋服のセンスも抜群。いろいろな角度から何度も楽しめる映画だと思います。続編が楽しみです!

【予告編】


ドラゴン・タトゥーの女 (限定公開版) [字幕版]限定公開版[字幕版】

ドラゴン・タトゥーの女 (字幕版)【字幕版】

※限定公開版はベッドシーンのモザイクがほとんど無いだけです。

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