うつ病患者が考える「うつ病の人との接し方」

by Kazumoto on 11/1/2010
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雑誌の特集として取り上げられるまでに、”うつ”は一般化してきているようですが、Googleで検索しても、専門医やカウンセラーさんの記事は見かけるものの、うつ患者の目線で、うつの人とどう接したら良いかということを書いたものはどうも無さそうです。私の個人的な経験だけで、科学的な裏付けとかは一切ありませんが(だから反論しないでねww)一体うつ病患者本人はどう感じているのか、どうして接してもらいたいものなのかをつらつら書き綴ってみようと思います。

まずは、家庭に目を向けてみましょう。この病気の回復には家族の手を借りないわけにはいきません。しかし、家族から見れば、単なる怠け病のように映るでしょうし、正直「ウザイ」とすら思うと思います。一日中寝ていて、食事とトイレくらいしか動きませんからね。単に自分に甘いだけなんじゃないかとか、病気にかこつけているだけじゃないかと邪推のひとつもしたくなると思います。

しかし、本人としては、その状態が精一杯なんです。ウソ偽りなく。唯一積極的に行動に移せるとしたら「自殺」だけです。ゴルゴ13が無料で、一発で仕留めてくれるのなら、すぐにでも依頼したいくらいなのです。もうそれだけしかホントに考えられないんですね。その他のことについては、どれだけ自分を奮い立たせても、やる気が出てこないんです。金縛りにあった感じと似ているかもしれません。動かしたくても指一本も動かない状態です。さらに言えば、動かしたいという欲求すら沸いてこず、騙し騙し生きている状態とも言えます。冗談抜きで、食事もトイレも本人に取っては一大事です。うつ病を患う家族が居た場合、脳梗塞とか、脳挫傷とか、重篤な病にかかっている人と同列に考えるくらいの方が良いのかも知れないと思います。

さらに「これしなよ、あれが良いらしいよ」と心配から、あれこれと何かさせようとしてしまいがちですが、これもちょっと控えた方が良いかもしれません。そう言われると、本人は「これをしなきゃ家族に余計に迷惑をかけてしまう」と妙に脅迫的に受け止めてしまいがちだからです。ですからうつど真ん中の人には、何も薦めず、無理に声をかけずにいた方が良いです。ただし、無視は止めてください。食事の時とか、起きている時に、近所の井戸端会議の話しとか、可愛い動物の写真の話しとか、薬にも毒にもならない話しをして、「ちゃんと心配して見ているよ」というアピールはしておく方が良いと思います。その積み重ねが、自殺防止の役目を果たし、やがて訪れる回復期に蜘蛛の糸の役割をしてくれます。

ウザイし、鬱陶しい存在でしょうが、無視せず無理をさせず、安心して休息が取れる環境を作るようにしてみてください。何かさせたいと思っていらっしゃるようであれば、起きている時を注意深く観察してください。新聞を手に取ったなら「そうそう、最近読みたい本があるんだけど、代わりに読んであらすじ教えてよ」とか、オーディオの電源を入れたら「そういえば何か聞きたいジャンルとかある?」とか本人が無意識に取ったアクションからヒモづけて、話しを向けて下さい。意外と「昔読んだあの本が読みたい」とか「曲名がわからない曲があるんだけど」とか、ノッてくる可能性があります。こうしたところから糸口を見つけるようにしてみて下さい。私は短編小説を読み出して、回復の手がかりとしました。

家族が味方についたら次は会社です。まず、問題になるのは「病気のことを公にすべきか」という問題です。これは異論も多々あると思いますが、私個人としては、公表するべきだと考えています。理由は、周りの協力無しにうつからの回復はないからです。本人にはキツイ話しでしょうが、これは上の人から伝達してもらう事項ではなくて、自分から全員に丁寧に説明して了承してもらう事項です。「お願いします。どうか力を貸して下さい。もう暫く支えて下さい」この一言を本人が言わなかったら、周囲の同僚に伝わることはありえません。人事部の方か、トップが全員を集めて、事情を説明する場を設けてあげて欲しいと思います。私は全員に向けてこう言いました。

「コイツは今は病気だけど、実は結構イケテるヤツだ。そう少しでも思っていただけると助かります。今できることは出来る範囲で精一杯やります。宜しくお願いします。助けてください。」

次に勤務体系をどうするか?いきなりフルタイムで働かせて大丈夫なのかどうか、人事部の方などは悩まれると思いますので、私の事例を。私は復帰後1ヶ月間、9時〜15時の変則的な勤務体系にしてもらって、助走期間を設けてもらいました。但し、勤務時間を変更する際に注意点があります。「朝の時間を遅らせてはいけません」うつ病になると、どういうわけか朝が一番辛い時間帯になります。この一番辛い朝を何としてでも乗り切らないといけないのですが、出勤時間を遅らせてしまうと、そのままズルズルと、朝に負けてしまうクセがついてしまいます。始業時間を前にずらすのはアリですが、後ろにズラすのは止めた方が良いと思います。「最初の1ヶ月は、朝出社することに慣れようよ。病気じゃない人だって辛いジャン、通勤するのって(笑)」こんな軽めのスタンスで短縮時間を提案していただけたらなと思います。

どの程度の仕事量を任せて良いのかというのも悩まれると思います。個人的には、復帰してきた人の目安は「入社2年目の少しダメっぽい人」と同じくらいに設定したらどうかと思います。新人さんほど何も知らないワケじゃないけど、残業も厭わないほど若さにものを言わせて働ける人でもないという感じです。任せるべきは「単調だけど重要な仕事」がベターではないかと思います。顧客リストの作成とか、図面の電子化とか、ついつい面倒で後回しになっているけど、いつか誰かがやらないとマズイという作業がきっとあると思います。こうしたみんなが嫌がるけれど、時間をかければ終わる作業というのはうってつけです。出来たときの達成感も得られますし、何よりみんなの役に立てます。

電話を一番に取ったり、価格競争の最前線に配置するのには、無理がありますが、誰もが感謝する後方支援作業にまずは取り組んでもらうというのは、一番無難で効果的な復帰策ではないかと私は思います。特に復帰した人は、「役に立てるだろうか?」「足手まといじゃないだろうか?」「居場所はあるだろうか?」などと不安の固まりです。上司の方はメンドクサイでしょうが、最初は社内的にポイントの稼げる仕事を振ってあげてください。2回くらい、みんなから「おお〜!助かる!」とか言われたら、それだけですごく楽になるものです。あと、うつの人が会社で役立つかも知れないとっておきの役目があります。過剰なくらい色々心配することを逆手にとって、プロジェクトの欠陥とか、段取りのモレを確認させるのです。細かくて誰も気づかなかったような、ヌケ・モレ・落とし穴を発見する嗅覚は異常に鋭いものがあります。「ちょっと全体を点検してもらえる?」こんな感じの役割を与えるのも手だと思います。

それと、これは是非どの会社でも検討していただきたいことですが、ふらっと散歩に行くのを許可してあげると良いと思います。一日中会社にいると、普通の人には何でもないことを、うつアンテナでキャッチして、ヘトヘトになっていることがあるのです。ですから、ふらっと散歩に行って、気分転換するというのを認めてあげてほしいと思います。日光浴するだけで、少し歩くだけで、ちょっと公園の緑を見るだけで、心に溜まったへんなものを吐き出して、リフレッシュできます。普通の人よりこの効果は大きいものです。家で昏々と眠り続けている人も、起きたついでにベランダに出るように仕向けたり、日中も日当たりが良い場所に布団を移動させたりすると、少し違ってくると思います。お日様の力は偉大です。

次に言葉の問題。「頑張れ!」「やればできる!」という言葉は言ってはいけないと言われています。これだけが一人歩きしていますが、何でこれを言ってはいけないのか疑問に思われている方も多いと思います。私が感じるに「頑張れと言われると、これ以上何を頑張れば良いのか考えてしまい、頑張れない自分を責めてしまうから」です。本人的には十分苦しんで、十分悩み抜いて、もうこれ以上努力できないところまで来ている気分になっています。現状維持が精一杯。崖っぷちで踏ん張っている感じなのです。そこに「頑張れ!」と言われてしまうと、「頑張りが足りない・・・」「全然何も出来てない・・・」と戦意喪失し、絶望感に襲われてしまうということになり、「だったら崖から落ちる頑張りをしよう」となってしまうのです。これは何も「頑張れ!」という単語を言わなければ良いワケじゃなくて、文脈として同じ事を言っているなら同じ事ですから、安易な励ましはしない方が良いと覚えておいてもらえると助かります。

励ますのではなくて、「褒める」方に重点を置いてあげて欲しいと思います。直接言うのが何でしたら、メールでもOKです。「サンキュー!」「助かったよ」「いやー援助がなかったらヤバかった(笑)」などなど、小さなことであっても、感謝の言葉とか、ホメ言葉とかをかけてもらえると、それが徐々に自信になっていきます。「励ます」ではなく「褒める」これを実践してあげてください。当然、メンドクサイからと無視するのは御法度です。これは誰でもそうでしょう。過敏なくらい、人から声をかけてもらった回数みたいのを気にしていることも多いので、雑談程度に声をかけてあげてください。無視はキツイっす。

ちなみに、話しの出だしは「元気そうだね!」とか「病気に見えないよ」とかじゃなくて、「調子はどう?」と聞いて下さるととても楽に会話できます。

書こうと思えばいくらでも出てくるのですが、今回のところはこんな感じで。少しでもお役に立てれば良いのですが。

最後に、いくつか実際に言われて、心底凹んだ言葉を書いておきます。

・「死ぬ死ぬって言う人に限って死なないよねえ」
・「それだけ病気の認識があって、何で治らないの?」
・「どこまでが病気の影響なんだよ?」
・「昨日はよかったのにねぇ、おかしいねぇ」
・「なんでも病気のせいにするのはワガママだろ」
・「ホントうらやましいよ、のんびり何ヶ月も休めて」
・「いい加減、気をつかうのに疲れたな」
・「原因はなに?」

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