【本レビュー】これはクラウド時代の『知的生産の技術』だ!『EVERNOTE「超」知的生産術』(倉下忠憲著)

by Kazumoto on 02/23/2011
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aohon.jpg著者、倉下忠憲さん(@rashita2)より献本御礼。メチャクチャ嬉しい!ありがとうございます!

「知的生産」といわれてパッと思い浮かぶ書籍は、以下の2冊が代表でしょう。

梅棹忠夫氏『知的生産の技術

渡部昇一氏『知的生活の方法

共に発刊されてから大分年月が経っている書籍ですが、今も多くの気づきを与えてくれる名著です。

知的生産に関する書籍を乱読していると、アウトプットするまでにはもの凄くざっくり書くと、下記の工程が必要だと言うことが見えてきます。知的生産の基本技術、基本フローとも言えるかもしれません。

◎情報収集→情報整理→発想・思考→アウトプット/(知的空間について)

各パートにはざっくりこのようなことが書かれています。

・情報収集・・・メモ・ノート・スクラップブック・情報カードなどを駆使し関連しそうな情報を集める技術について

・整理・・・規格化・置き場所・ファイリング方法・分類方法など、情報を引っ張り出し易くする技術について

・発想・・・KJ法やこざね法など、独自の思考や発想を得るための技術について

・アウトプット・・・原稿・文章の書き方の技術について

・知的空間としての書斎の重要性

本書もまさにこの流れに乗っ取って書かれています。ではこの本の知的付加価値とは何か?それは「紙」が情報の中心だった時代に書かれた名著を現代版、クラウド時代版にリ・ライトした、野心的な本だという点に集約されると私は思います。

クラウド時代の知的生産の技術の中核を成すのがEvernoteです。Evernoteのノートは「情報カード」であり、「スクラップブック」であり、「メモ」でもあります。ノートブックや階層式タグ、検索を使うことによって、集めた情報を整理することができます。

かつては書籍を集め、ノートやカードを置いておく広大な書斎が必要でしたが、今ではEvernoteが知的生産基地・知のデータベースになるというわけです。ノマドワークに代表されるワークスタイルの変化に、クラウド時代の書斎の形が垣間見える気もします。本当に見事なまでにEvernoteが『知的生産の技術』に書かれている技術を代替していることに驚きます。

発想についても、ノートブック・スタック機能で(擬似的に)KJ法が実践できたり、やはりノートブックを活用することで、外山滋比古氏の『思考の整理学』にある、メタ・ノートとして使えたりと、発想法にまでEvernoteが使えることに言及している点も新鮮です。

アウトプットに至ってはEvernoteだけではなく、より自由なアウトプットを手助けしてくれるという位置づけでEvernote以外のクラウドサービスの使い方を説明しています。これも類書には見られない言及の仕方でしょう。

正直に言って私は「知的生産」というものが未だに腑に落ちる理解に至っていません。研究者の方が色々な情報を集め、分析し、論文としてまとめるということはイメージもできるし、理解もできるんですが、一般的なサラリーマンの仕事と知的生産というのがどうも素直に等式で結べません。(報告書が知的生産と言われても・・・皆さんそんな高等な報告書書いてます?)また、情報に付加価値を付けるということもイマイチ腑に落ちていません。しかし、著者のこの一文を読んで朧気に見えてきたものがあります。

検索すればいくらでも情報が見つけられる時代では、単に知識を持っているだけでは価値が生まれません。自分の頭を使って、新しい情報をアウトプットしていくことで、初めて価値を生み出せます。

平安京遷都の年代が794年であることを覚えるのに、「鳴くよウグイス平安京」などと必死に暗唱したものですが、今やGoogleで「平安京 遷都 年代」と入力すればすぐさま答えが出てくる時代です。確かに知識は力と同義だった時代ではないということは理解できます。

では、これから何に価値が生じるのか?やはりキーワードは「キュレーション」ということなのでしょう。一人一人の人生のフィルターを通して紡がれた「私はこう考える・こう思う」という情報が価値を持つということになるのかもしれません。

しかし・・・全部が全部、価値ある有益な情報とはならないでしょうし・・・無駄な情報を垂れ流すことになりはしないでしょうか??このブログだって無駄情報だらけですしねぇ・・・うーん。考え込んでしまいますね。

それはともかく、『知的生産の技術』に感銘を受けた人であれば、本書を一読する価値は間違いなくあります。基本技術は共通でも、具体的なテクニックが名著の時代と、現代では大きくことなるのですから。日々多くの情報と接する人、情報の扱い方に四苦八苦している人にもオススメです。

「さすが、知的生産王子!」と感服する一冊です(^^)/

蛇足:ひとつだけ解せないのは、節を「LIFEHACK01・02・・・」と書いてある点。これはLIFEHACKとは言わないんじゃないでしょうか?

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